「老後破産」「下流老人」といった言葉を聞いたことがありますか?
平成30年簡易生命表によると、65歳からの平均余命が男性は19.7年。女性は24.5年です。女性は90歳まで生きる割合が50%。
退職後、長い時間があります。その分生活費も多く必要になります。
65歳以上の1人当たりの平均所得金額は196.6万円です。
(※平成29年厚生労働省国民生活基礎調査)
ニュースでも年金問題が頻繁に取り上げられ、老後資金を不安視する声が高まります。
そこで今回は、このような状況が生み出された時代背景を解説するとともに、皆さんが「老後資金が不足」しないための対策法を紹介していきたいと思います。
「退職金」が減少している
高齢者の所得が低くなっている理由の1つは、「退職金」の減少にあります。
景気が順調だった平成5年頃には、92.0%の企業が退職金制度を持っていましたが、平成30年には80.5%と大きく減少していることが分かります。(※平成30年 厚生労働省 就労条件総合調査結果の概要)
また常用労働者1,000人以上の企業規模では92.3%が退職金制度を導入していますが、
30〜99人と小規模の企業になると77.6%しか導入できておらず、企業規模別によって大きな格差が生まれていることがうかがえます。
1000人以上規模なら92.3%だが、30~99人だと77.6%
昔のように「年金」を受け取れない
「今の30~40代世代は、今の年金受給者のように年金を受け取ることは難しい」
といったフレーズを新聞やニュースなどでよく耳にすると思いますが、その「現実」を正しく認識できている方は案外少ないように感じます。
そもそも今の「国民年金」制度は、1959年に国民年金法によって制定されました。
実は1959年当時、定年は55歳、平均寿命は男性65歳、女性が70歳でした。(つまり「老後」は10~15年)
つまり、当時の年金は「老後10~15年分」を想定して作られた制度だったのです。
しかし、今や日本は「人生100年時代」とよばれるまでの長寿社会。
平均寿命が年々伸びていることはよく知られていますが、内閣府の資料によると、2060年には、男性が84歳、女性が91歳まで平均寿命が伸びるといわれています。
つまり、かつて10~15年だった「老後」が、今では20~30年にも引き延びたことになります。
現代では年金を支える若者の数も減っているわけですから、「国民年金」だけに頼って老後生活を送るのは、制度上厳しいでしょう。
退職金についても、現在70歳以上の親世代では、原則として年5.5%の利回りを保って運用されていました。
銀行預金金利が非常に低く設定されている現在と比べると、非常に高い利回りを享受できていたのです。
近年注目されている「確定拠出年金」
退職金が減り、国民年金にも頼ることが難しくなってしまった私たちが今からできることは、 「自分の年金は自分で作る」ことです。
そこで近年注目されているのが、「確定拠出年金」。
老後資金が不安視される中、2017年1月に制度改正され、個人で運用がしやすくなり非常に注目度が高まっている制度です。
特徴は、運用益が非課税になり、受取時にも優遇が受けられるなど、税制メリットが大きいこと。
確定拠出年金には、「個人型」と「企業型」の2種類が存在します。
「企業型確定拠出年金(企業型DC)」は、金融機関や金額は企業側に決定権があるものの、掛金や手数料を主に会社が負担してくれるもの。
「個人型確定拠出年金(iDeCo(イデコ))」は自ら拠出した掛金が全額所得控除となり、運用も自由にできることがメリットとなっています。
※関連記事:個人型と企業型の違い
「老後破産だけはしたくない…」 「将来の資金が不安…」 という方は特に、利用しない手はないお得な制度といえるでしょう。
50代から利用される方も多いので、いま加入に迷っている方は、ぜひこの機会に検討してみてはいかがでしょうか。
※当記事は2016年9月時点の税制・関係法令などに基づき記載しております。今後、税務の取扱いなどが変わる場合もございますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。
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