
投資信託のパンフレットなどを見ている時に、「ベンチマーク」という言葉を目にしたことはないだろうか。ベンチマークは資産運用の指標となるものであり、資産運用を検討する際に重要な判断材料となる。今回は、投資信託のベンチマークについて解説していく。
ベンチマークとはどういうものか?
「ベンチマーク」とは、資産運用の目安となる指標のことをいう。たとえば、日本国内の株式を主な対象とする投資信託の場合、東証株価指数(TOPIX)や日経平均株価をベンチマークとすることが多い。何の指数をベンチマークとしているかを見れば、その投資対象あるいは投資信託がどのようなタイプのものかが、だいたい理解することができる。
投資信託のベンチマークには、「必ずこの指数をベンチマークとしなければならない」といった制約はない。運用会社が投資信託の運用スタイルに応じて、自分たちの判断でベンチマークを設定しているわけだ。従って、投資信託を購入する前に、「何をベンチマークとしているか」あるいは「そのベンチマークに対して運用実績はどうなっているか」などを確認することが重要だ。どんなベンチマークが用いられているかは、投資信託の目論見書や運用報告書などに記載されている。
ベンチマークに関するもうひとつ重要な視点は、運用スタイルが「ベンチマークに連動するように運用するか」あるいは「ベンチマークを上回る運用成果を目指すのか」という点である。前者は「パッシブ運用」と呼ばれており、金融市場が好調なときも軟調なときも、ファンドの基準価額がベンチマークに連動するように運用する。対して後者は「アクティブ運用」と呼ばれており、ベンチマークよりも良い運用成果をあげることを目指している。
従って、パッシブ運用の投資信託を選ぶ際は「ベンチマークと同じような動きをしているか(乖離していないか)」、アクティブ運用の投資信託を選ぶ際は「ベンチマークを上回る成績をあげているか」が、確認しておきたいポイントだ。
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ベンチマークの主なものには何があるか?
投資信託のベンチマークには、下記のようなものがあげられる。
<国内株式>
代表的なものとして、前述の東証株価指数(TOPIX)や日経平均株価などがある。TOPIXは、1968年1月4日時点の東京証券取引所の第一部上場銘柄の時価総額を100として、その後の時価総額を指数化したものだ。また、業種別、規模別など様々な種類があるのも特徴だ。
日経平均株価は、東京証券取引所の第一部上場銘柄の中から225銘柄を選定し、当該銘柄を使って算出する株価平均型の指数だ。この225社は日本経済新聞社が選定するため、「日経225」とも呼ばれている。
<外国株式>
代表的なものとして、「MSCIコクサイインデックス」や「MSCIワールドインデックス」がよく使われている。どちらも、Morgan Stanley Capital International社が発表している、先進国20カ国以上を対象とした株価指数だ。このほか、新興国を対象とした指数や、規模別、地域別に特化した指数など、さまざまな種類がある。
<国内債券>
野村證券金融経済研究所が算出・公表しているもので、日本の公社債の動向をみるために開発された「NOMURA-BPI総合指数」が代表的である。
<外国債券>
「シティグループ世界国債インデックス」や「JPモルガン・ガバメント・ボンド・インデックス」がよく用いられている。
上記はあくまで代表的なものの列挙であり、ベンチマークは他にも無数に存在する。
ベンチマークを参考にして投資商品を選ぶ
前述の通り、ベンチマークは投資信託の特性に応じて選ばれることから、ベンチマークをみればだいたいどのような運用商品であるかを判断することができる。投資信託の優劣を運用成績だけで判断するのではなく、適当なベンチマークが使用されているかどうかも合わせて、よく考えて判断する必要があるだろう。
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