
確定拠出年金では、毎月の掛金をもとに加入者自身が運用を行う。そのため、年金として受け取ることができる金額は運用結果次第となる。つまり、運用成果は自己責任となるわけだ。
こう聞くと尻込みする人も出てくるかもしれない。確定拠出年金をやるかやらないかは自由であるが、将来の公的年金額が今以上に少なくなる可能性があるため、公的年金だけに頼った生活を想定していくのは難しくなる恐れがある。そこで、自助努力としての確定拠出年金による資産形成は重要性が増してきていることから、加入を検討する価値はあるといえる。
なお、意外に知られていないことかもしれないが、確定拠出年金は何も株式や投資信託などリスクのある金融商品だけで運用するわけではない。預金や保険といった額面割れをおこさない金融商品で運用を行うこともできるのだ。
それではこうした「元本確保型」と呼ばれる額面割れをしない金融商品で運用することで、メリットとデメリットには何があるのか、本記事では解説していくこととしよう。
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元本確保型商品で運用することのメリット・デメリット
預金や保険といった元本確保型商品で運用する場合のメリットは、なんといっても損をしないことだろう。しかも銀行窓口で通常預ける場合の定期預金よりも利率が高いのが一般的である。そのため、現状ではほんの少しではあるが利息分が増加することになる。
また、保険商品には生命保険商品と損害保険商品がある。生命保険商品は5年や10年などあらかじめ定められた期間の途中で解約した場合には元本割れをおこす可能性があるものの、利回りは預金よりも有利な場合が多い。損害保険商品も生命保険商品同様、預金よりは利回りがよくなるケースが多いといえる。このほか、ケガによる死亡の場合には割増給付金が支給されるといった特徴もある。
ただし、預金も保険もメリットばかりではない。いずれにおいても通常の定期預金よりは利率が高いといっても、増やすことができる金額は限られている。投資期間が短いのであれば確実性をとることも重要といえるが、昨今の低金利下では、長期の運用を行う方にとっては収益性という観点から物足りなさがあることも事実である。
また、預金の場合、預金保険制度の対象となる。つまり、金融機関に万が一のことがあった場合には、1,000万円とその利息は保護されるが、それ以上の金額は保証されないことになる。そのため、普段利用する金融機関と確定拠出年金において利用する金融機関は分けたほうがよいかもしれない。
そして、機会損失も考慮に入れるべきであろう。これは、アベノミクスが始まってからの株価上昇の恩恵を受けることができなかったという点だ。経済情勢をとらえながら、的確な運用を行うことができていれば、年金資産を増やすことに貢献できたものの、預金や保険ではそうした増やす観点に弱さがある。
このほか、インフレにも対応ができるかという観点では疑問符が付く。預金や保険では、インフレ時には実質的な年金資産が目減りするおそれがある。こうした観点からいえることは、預金や保険による運用は、現状の低金利下・低インフレ下では元本確保という魅力がある反面、増やすという観点からは魅力に乏しい点である。
資産全体におけるリスク分散投資の配分を検討する
預金や保険といった元本確保型の金融商品のメリット・デメリットはお分かりいただけたであろうか。年金資産を構築する上で大事なことは、運用商品のメリット・デメリットを知り、安全性と収益性の両方を考えることである。
これは何も確定拠出年金だけの話ではない。資産全体を見たうえで配分を調整していくことが重要だ。
長期的な非課税の恩恵を享受したいのであれば、確定拠出年金ではリスク資産による運用に重きをおき、他の資産では元本確保型といった選択肢もよいのではないだろうか。
※当記事は2016年8月現在の税制・関係法令などに基づき記載しております。今後、税務の取扱いなどが変わる場合もございますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。
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※当記事は2020年8月現在の税制・関係法令などに基づき記載しております。今後、税務の取扱いなどが変わる場合もございますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。