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独身者の老後資金はどのくらい用意すべき?将来を見通した資産運用とは

(写真=Olena Yakobchuk/Shutterstock.com)

生涯未婚率が増加している昨今、生涯独身を謳歌するという人は今後多くなることが予想されます。単身での生活は、誰に気兼ねすることなくのびのびと生活できますが、万一の際などを考えると、不安に苛まれがちな面もあるでしょう。そこで本稿では、単身者が安心して老後を過ごすために必要な経費として、どのようなものがあるかについて考えます。

独身者が老後に備える必要性

老後とは一般的に「退職後、仕事をせずに余生を過ごす」ような状況のことを指します。仕事を辞めるタイミングは人それぞれであり、自営業やフリーランスなど定年がない職業であれば「生涯現役」という人もいるでしょう。

退職する時期は自分で決めることができますが、いつまで生きられるかは誰にもわかりません。厚生労働省の「令和元年 簡易生命表」によれば、日本人の平均寿命は男性で81.41歳、女性は87.45歳。男女合わせた平均は84.43歳です。

ということは、65歳まで働くと仮定した場合、男性で15~20年、女性で20~25年の老後を過ごすことになります。もし貯蓄が不十分だったら、それだけの期間を退職金と年金だけを収入源として生活していくことができるでしょうか。金融庁 金融審議会による市場ワーキング・グループ報告書「高齢社会における資産形成・管理」によれば、退職金の平均は1,700~2,000万円とされているが、ピーク時からは3~4割減少しているといわれています。

こうしたことから、若いうちから資産形成・資産運用を行うことは、20~25年間の老後生活を送るうえで非常に有効な手段であると言えるでしょう。

独身者の老後にかかる費用の種類

では、独身者が老後の生活を送る場合にどのような費用がかかるのか、具体的に見ていきます。

生活費・住居費

生活のスタイルは人それぞれですが、「令和元年家計調査年報(総務省統計局)」によると、1ヶ月の生活費(消費支出)の平均は、高齢単身無職世帯(60歳以上)では13万9,739円。そのうち住居費は1万2,916円です。ただし、持ち家でも、マンションは管理費や修繕積立金がかかりますし、一戸建ても修繕費は考慮しなくてはなりません。実際の住居費はさらに必要になることが予想されます。

この場合、会社勤めであれば勤務先の企業年金制度や貯蓄制度を利用して積立てをしたり、物件の購入を考えたりすることも検討可能です。また、低金利の住宅ローンの利用もできる財形貯蓄を活用するなど、さまざまな手段を講じることで老後に必要なお金を貯めてゆくことも可能になるでしょう。

高齢化に伴う住み替え費

現在は自分のライフスタイルにあった家に住んでいたとしても、高齢化に伴い体が不自由になったり、介護などが必要になったりした場合、そのまま住み続けることができなくなるかもしれません。可能であれば、不自由を感じる前に住み替えた方が心身ともにダメージが少ない場合もあるでしょう。住み替え先の候補の1つとして、「サービス付き高齢者住宅」があります。

サービス付き高齢者住宅とは、高齢者の居住の安定確保に関する法律(高齢者住まい法)の改正により創設された高齢者向け住宅の1つで、「サ高住」とも呼ばれています。住居としての居室の広さや設備、バリアフリーといったハード面の条件を備えると同時に、ケアの専門家による安否確認や生活相談サービスを提供するなどのソフト面も兼ね備えています。

これらの費用は一見すると高額であるが、各都道府県の中には、条件を満たすことで家賃の補助金を出しているところもあります。一考に価するものとして記憶に留めておいて損はしないものと言えます。将来に備え、仮に持ち家をバリアフリーにリフォームし自分で生活することができるようにしたとしても、日々のケアや万一の際などに不安は残るでしょう。

定期的に安否確認をしてもらえて、緊急時には病院への連絡や、日常生活の相談、医療・介護サービスを受けるための支援をしてもらえるサービス付高齢者向け住宅は、老後に不安を抱く単身者にとって心強いサービスですね。

医療・介護費

高齢になるにつれて心配になるのが、やはり健康面でしょう。将来における医療費や介護費の予想が立たず、漠然とした不安を抱く方も多いかもしれません。平均年収に対する医療費の自己負担の割合は、65~69歳で収入の3.8%、70~74歳が3.5%(医療費一割凍結を除く)、75歳以上が4.3%であり、これらの統計からおおむねの医療費は導き出すことができます。

医療費の負担が過重にならないようにする制度もあります。医療費負担の上限額を定める高額療養費制度や、公的医療保険と公的介護保険における1年間(毎年8月1日~翌年7月31日)の自己負担の合算額が高額な場合にはさらに負担を軽減する高額介護合算療養制度などです。

また、年収156万~370万円までの「一般の高齢者」であれば、たとえ入院したとしても、月額5万7,600円までの負担となります。ただし、入院時の個室料金や通院の際の交通費などは別途負担する必要があるため注意が必要です。

独身者の老後資金はいくら必要?

では実際にいくらあれば独身者の老後資金は充分であると言えるのでしょうか。

生活や住居の費用

老後の生活費を把握する上で参考になるのが、総務省統計局による「令和元年 家計調査報告(家計収支編)」です。先述の通り、高齢単身(無職世帯)の消費支出は平均で13万9,739円。税金など非消費支出の1万2,061円を合わせると、月に約15万1,800円が必要になります。

医療費などその他の費用

歳を重ねると、病気で入院する可能性も高くなってきます。万が一入院する場合の費用も見込んでおく必要があるでしょう。

厚生労働省の「平成30年度 医療給付実態調査報告書」によれば、65歳の人が悪性新生物(がん)によって入院した場合、1日あたりの診療費は平均6万7,867円。また同「平成29年(2017年)患者調査の概況」によれば、平均在院日数は18.6日となっています。1入院あたり126万2,326円がかかる計算です。

公的保険の「高額療養費制度」によって自己負担は5万7,600円に抑えられるものの、差額ベッド代と食費は自己負担となります。

老人ホームなどに加入する場合の費用

自宅ではなく、老人ホームで老後を過ごすという選択肢もあります。公的施設にあたる「特別養護老人ホーム」や民間施設にあたる「介護付き有料老人ホーム」「住宅型有料老人ホーム」など多くの種類があり、料金設定はそれぞれ異なりますが、月額の利用料金の相場はおおむね10~30万円。それ以外に入居一時金として最大で数千万円近いお金がかかる場合もあります。

中には、入居一時金が必要なく月々の利用料のみで入居できる施設もありますが、それでも毎月10~30万円の利用料がかかることは頭に入れておく必要があるでしょう。

独身者がもらえる年金

厚生労働省年金局による「平成30年度厚生年金保険・国民年金事業の概況」によれば、国民年金の受給平均月額は5万6,000円、厚生年金は14万6,000円となっています。この受給額だけでは、老後の生活を送る上でも少々厳しいと言わざるを得ないです。

そうした老後に備えるための資産形成の手段として、個人型確定拠出年金(iDeCo(イデコ))やつみたてNISAの利用を検討してみてはいかがでしょうか。いずれも税制上のメリットを活かした資産形成が可能で、将来の安心を求める人々の間で活用が広がっています。

独身者が老後資金を増やすには資産運用がカギ

では、老後の資産形成の手段となりうるiDeCo(イデコ)やつみたてNISAには、それぞれどのようなメリットがあるのかを見てみましょう。

iDeCo

iDeCo(イデコ)は、元本確定型商品(定期預金・保険)や元本確保型以外の商品(投資信託)などの商品ラインナップから、自分で商品を選んで運用します。メリットとしては、

  • 掛金の全額が所得控除になる
  • 積立期間中の運用益が非課税になる
  • 受取時も優遇制度がある

などが挙げられます。原則60歳まで引き出せませんが、老後資金として考えるならば、途中で引き出して使えないこともメリットとして捉えていいでしょう。

つみたてNISA

つみたてNISAは、安定的な資産形成のために長期に渡って分散・積立投資ができる仕組みとして誕生しました。年間で40万円までの投資で得られた利益が、最長20年まで非課税になります。上限額まで積立てすることができれば最大で800万円に対する運用益が非課税になるため、効率的な資産運用が可能になります。

購入できる金融商品は、国が定めた基準を満たした商品が対象なので、投資初心者も安心です。

個人年金保険

民間の保険会社が取扱う商品として個人年金保険についても紹介します。60歳や65歳といった一定の年齢まで保険料という名目でお金を積立て、その後は積立金をもとに年金をもらう仕組みです。公的な国民年金や厚生年金と違い、利用者が任意で加入します。

支払う保険料や将来受け取る年金額、障害状態になったときの保険料払込免除など、商品によって金額や特約はさまざまです。年金の受取り方は以下の3つに分かれるため、加入者のライフスタイルや希望に合わせて選択します。

  • 10年や15年など固定で受取期間が設定され、死亡時は遺族が受取れる「確定年金」
  • 受取期間が固定されて保証期間を除いて遺族が受取れない「有期年金」
  • 生存中ずっと受け取り続けられる「終身年金」

税制適格の場合、支払った保険料については、生命保険料控除や個人年金保険料控除を受けることができるため、税制優遇を受けながら自分の年金を確実に準備することができます。また、商品によっては死亡保障も備えることが可能です。

現状を見直して普段から老後への備えをすることが大切

老後の資産運用をする上で大切なのは、「利息を再投資し続けて複利効果を得る」ということです。できるだけ多くの資金を捻出するほど利息が増え、再投資の効果が大きくなります。

投資資金を捻出するためには働いて稼ぐのが王道ですが、節約によって支出を見直すことも重要です。特に重視したいのが毎月必ずかかる以下のような「固定費」です。

  • 住居費
  • 水道光熱費
  • 通信費
  • 民間保険の保険料

これらは毎月、費用が発生するため、一度削減できればその後も毎月継続して節約ができるでしょう。

中でも見直しやすいのは通信費(スマートフォン・携帯電話の料金)です。大手のキャリアから格安SIMに切り替えるだけで、プランにもよるが月に5,000円以上節約できることは珍しくありません

老後に必要になる生活費に相当する資産形成ができるよう、こうした節約も重ねながら、拠出できる投資資金を増やすことを心がけていきましょう。

※当記事は2021年3月現在の税制・関係法令などに基づき記載しております。今後、税務の取扱いなどが変わる場合もございますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

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執筆: 確定拠出年金スタートクラブ編集部