
2014年からスタートしたNISA(少額投資非課税制度)は、2019年に施行から満5年を迎える。NISAの非課税期間は最大5年間であり、非課税期間が終わった段階で、売却するか新しいNISA枠へと移管(ロールオーバー)させるかを選択しなければならない。本稿では、この「ロールオーバー」について説明する。
非課税期間の5年が経過したらどうすればいい?
NISAで購入した株式や投資信託は、譲渡金、配当金、分配金などの運用収益が5年間非課税となる。この非課税期間が満了した段階において、引き続きNISA制度を活用したいのであれば、ロールオーバーを活用する必要がある。
ロールオーバーを行うには、所定の手続きが必要となる。もし手続きを怠ると、非課税期間終了後、通常の証券口座で保有しているのと同じ扱いになり、運用収益に課税されるようになる。ただし、利用している証券会社によっては対応が異なる場合もあるため、あらかじめ確認しておきたい。
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NISAのロールオーバーを行う上での注意点
2019年は、日本でNISAが始まってから初めてロールオーバーを行う時期となる。手続きの際に押さえておきたいポイントは次の通りである。
・「ロールオーバー」「課税口座へ移管」2つの選択があることを認識する
非課税期間が経過したからといって、必ずしもロールオーバーを行う必要はない。翌年のNISA非課税投資枠へロールオーバーする選択肢だけでなく、課税口座(特定/一般)へ移管することを選ぶこともできる。証券口座の多くは、何もしない場合、特定預かり口座に移管される。そのため、非課税期間が満了する前には、どうするのか決めておく必要がある。
・ロールオーバーの手続き方法
ロールオーバーの手続きは難しくない。証券口座の中でも、インターネットから手続きできる類であれば、ウェブサイトからロールオーバーする銘柄を選び、郵送されてくる必要書類を記入して返送するだけだ。NISA口座を閉鎖していたり、他の金融機関へ変更をしたりしていなければ、そのままNISA枠で保有することができる。不明な場合は、金融機関に確認してみよう。
・ロールオーバーが必ずしも最善ではない可能性も
NISAの非課税枠を賢く使うには、非課税枠と投資商品の兼ね合いについて、あらかじめきちんと考えておく必要がある。NISAのデメリットの1つに、NISA口座で出た損失は特定口座内の利益と損益通算できない点がある。もしNISAで保有していた運用商品が大きく値下がりし、損切りして次の運用商品を購入したいと考える場合は、NISAから課税口座に移行した後に当該運用商品を売却し、その売却損と特定口座内の利益とを損益通算することも可能である。この場合、売却のタイミングは上手に見極めたい。
制度を活用して投資を継続
ロールオーバーを行う場合、年間の非課税限度額である120万円を超えていても、全額ロールオーバーすることができる。ただしこの場合は、その年は新規の買い付けができなくなるため、注意が必要だ。なお、120万円に満たない金額をロールオーバーするのであれば、120万円との差額について新規で買い付けすることができる。
2019年に入り、NISAに「ロールオーバー」という選択肢が追加された。対応が遅れてしまわないよう、早い段階で手続きすることを勧める。
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