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確定拠出年金で体現する「時間分散」投資~ドルコスト平均法とは

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(写真=Hintau Aliaksei/Shutterstock.com)

社会保障の給付の見直し(引下げ)が繰り返されている現在、定年を迎えるにあたって公的年金(国民年金・厚生年金保険)や退職金だけで老後を送るのは少々心もとない。日本の年金制度は「3階建て」といわれているが、確定拠出年金(DC)はこのうちの3階部分に相当する。

確定拠出年金は、企業型(企業型DC)・個人型(iDeCo(イデコ))を問わず、老後に必要な資産を形成するための制度である。大切な老後の生活資金なので、資産運用はいかにリスクを抑えながら堅実かつ効果的に行うかがポイントとなるが、価格変動リスクを抑えるのに有効とされる手法の1つに「ドルコスト平均法」がある。

確定拠出年金は、毎月の拠出額が一定である場合、自然とドルコスト平均法による運用を行うことにつながる。そこで、今回はドルコスト平均法のやり方と、それを通じた確定拠出年金の効率的な資産運用について迫ってみよう。

ドルコスト平均法とは

金融商品は日々価格(時価)が変動している。利益を出すためには、当然安値圏で購入するに越したことはない。しかし、安値圏を判断することは、プロの投資家以外にとっては、いや、プロの投資家ですら非常に困難である。そこで、手持ちの資金で一度に金融商品を購入するのではなく、同値もしくは同数の商品を時期をすらして定期的に購入することで、時間を分散する投資手法がある。

・定量購入
通常、値動きする金融商品には「100株ずつ」「1万口ずつ」といった購入単位があるが、毎月同じ日に同じ「株数あるいは口数」で金融商品を買い付けるという手法がある。例えば、基準価額が下表の通り推移している投資信託を1~6月までの6ヵ月間毎月1万口ずつ購入した場合、6ヵ月後の保有口数は6万口、合計購入金額は6万4,500円となる。平均購入単価は1万750円となる。


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この購入方法を「定量購入」ともいい、安値圏のときには安い金額を支払い、高値圏のときには高い金額を支払って購入するという当然の現象が起こる。

・ドルコスト平均法(定額購入)
上記の定量購入に対して、毎月同じ日に「同じ金額」で金融商品を買い付ける方法を「ドルコスト平均法」という。先ほどと同じ基準価額で推移する投資信託を例にとると、毎月1万円ずつ購入していくと、6ヵ月後の保有口数は5万6,392口、合計購入金額は6万円となる。平均購入単価は1万640円となる。


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この購入方法を「定額購入」ともいい、安値圏のときにはたくさん購入し、高値圏のときには少量購入することにより、購入金額を平準化することができる。平均購入単価を比較すると、定期購入より定額購入(ドルコスト平均法)の方が低いことは一目瞭然だ。

一目瞭然とはいえ、平均購入単価の差額は110円である。小さな額に感じるかもしれないが、今回のシミュレーションは6ヵ月であることに留意してほしい。購入金額が大きかったり、または、10年単位等での長期的な投資をしたりする場合、この差額はより大きくなっていくことは言うまでもない。

ドルコスト平均法のメリットとは

ドルコスト平均法のメリットは大きく3つある。1つ目が平均購入単価を自動的に下げること、2つ目が判断基準の軸を持てること、3つ目が非合理行動を防ぐことである。

・平均購入単価を自動的に引き下げる
金融商品だけでなく、投資全般において利益を出すために必要なことは、「安く買って高く売る」ことだ。しかし、将来基準価額がどう動くかは誰にもわからない。予測が付かないからこそのドルコスト平均法なのである。先程例に出した投資信託の場合、6ヵ月間で一番安値となった4月10日に購入することがベストな選択だ。しかし、過去を振り返るから「このときに買うべきだ」と言えるわけで、実際に4月10日が最安値だと判断して購入することは至難の業だ。

また、投資信託は基準価額が毎日変動する。値動きを毎日見張って購入のタイミングを決断することは、忙しい社会人にとっては決して容易ではない。だからこそ、投資をする際には、商品選択や購入のタイミング、売却のタイミングなどの「マイルール」を事前に作っておくことが重要だ。

その点、「ドルコスト平均法」は値動きに関係なく、自動的に購入価格が調整される。相場判断を行わずに機械的に投資ができることが強みだ。結果として、前述のシミュレーションの通り、一括で購入する場合よりも高値買いのリスクを抑えることができる。

・判断基準の軸を持てる
マイルールを作ることなく投資を始めると、判断の軸がないために、購入や売却の判断が非常につきにくくなる。素人なりに安値圏を読んでみても、それが本当に正しいかどうかは本人にもわからない。また、金融商品を購入したのは良いものの、今度は値動きが気になって相場に釘付けになる。時間だけが無為に過ぎてゆき、時にはせっかくの高値圏の売却タイミングも逸してしまう。

・非合理的な行動を防ぐ
投資や資産運用において、人はしばしば非合理的な行動を取る。投資とは、安値圏で購入して高値圏で売却し、利益を出すものである。それにも関わらず、人は購入した金融商品が安値圏に突入すると手放したくなり、市場で話題になったりして高騰してくると購入したくなる傾向がある。人間の心理はときに、利益を出すための行動と正反対のことをしがちであることは覚えておきたい。

ドルコスト平均法のデメリット

ドルコスト平均法にもデメリットは存在する。どんなに平均購入単価が低かったとしても、売却時における価格が平均購入単価を下回っている場合、利益を出すことはできない。価格が変動する金融商品の場合、小刻みに価格が上下するのは致し方ないことだが、長期的に見たときには価格が上がっているような商品を見極めることが最重要課題だ。

過去のリターン実績や規模(投資信託でいう純資産総額)が目減りし続けていないか、また保有時のコストについて確認するとよいだろう。また、早期償還のないよう設定されたばかりの投資信託は避けた方が無難だろう。設定から2~3年経過していて、純資産総額が減ってきておらず、収益を上げているような商品を選択することがリスク軽減につながる。

確定拠出年金でドルコスト平均法を体現する

確定拠出年金は、原則として毎月決まった金額の掛金を拠出していく制度である。毎月購入する日にちが決まっているものがほとんどだ。また、掛金額を変更することは原則として1年に1回となっている。購入商品を変更しないのであれば、必然的にドルコスト平均法を実践することになる。

また、確定拠出年金は60歳まで(企業型DCで規約に定めた場合には65歳まで)掛金を拠出することができる。拠出期間が10年以上ある場合、60歳から受取開始となるが、遅くとも70歳までに受取開始する必要がある。仮に受け取りを70歳とした場合、誰にでも少なくとも10年間の運用期間があることになる。もちろん、スタートする年齢によっては何十年という長期投資になる。

なお、積み立てを行っている間は、購入開始よりも価格が下落したとしても、特段問題はない。何故なら、価格が下落する方がかえって安い価格で大量に購入できるからだ。このように、長期的な目線のドルコスト平均法は、同じく長期的に積み立てしながら運用していく確定拠出年金と親和性が高いのである。

確定拠出年金は「時間分散」「資産分散」で堅実に運用

ドルコスト平均法は、リスク分散の手法の1つである。投資する時期をずらして投資するという「時間分散」の手法である。

このほかにも、下記のような「資産分散」を行うことで、さらにリスクを抑えた運用をすることができるだろう。
・国内と海外、新興国と先進国、欧州とアジアなど、異なった地域の投資先へ投資する「地域の分散」
・株式・債券・投資信託・保険など、投資する商品を分散する「商品の分散」
・円や数ヵ国の外貨に分散して投資する「通貨の分散」など

投資の世界においては、「卵は1つのカゴに盛るな」という格言が存在する。これは、1つのカゴに全ての卵を入れてしまうと仮にカゴが壊れてしまうとすべての卵がダメになってしまうが、複数のカゴに分散すれば1つのカゴが壊れても他の卵は無事で済むということだ。

この格言を投資に重ねると、自分の全て資産を1つの商品に投資するのではなく、複数の商品に投資することで大幅な資産減少を避けることができるということである。確定拠出年金の資産運用においては、老後のための減らすことができない資産であり、長期運用であるという特性からも、「時間分散」と「資産分散」を特に心がけておきたい。

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執筆: 株式会社ZUU
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