
厚生労働省「2017年簡易生命表」によると、日本人の平均寿命は、女性が87.26歳、男性が81.09歳で、いずれも過去最高を記録した。「人生100年時代」と言われる昨今、豊かな人生を送るためには、「老後の楽しみ方」は避けられないテーマとなっている。
50代以降の人々は、年齢を重ねていく中で、どのような事が楽しみになっていくのだろうか。今回は「シニアの老後の楽しみ」をテーマにしたアンケート結果を元に、老後の楽しみと、それに伴う費用についてお伝えする。
老後の楽しみランキング
ソニー生命保険株式会社が、全国の50~79歳男女を対象に実施した「シニアの生活意識調査2017」によると、シニア層の「現在の楽しみ」は、1位が旅行、2位はテレビ/ドラマ、3位はグルメであった。
現在の楽しみ(複数回答形式)
順位 | 内容 | 割合(%) |
1位 | 旅行 | 52.7 |
2位 | テレビ/ドラマ | 32.1 |
3位 | グルメ | 31.4 |
4位 | 読書 | 30.2 |
5位 | 健康 | 29.8 |
6位 | 映画 | 24.7 |
7位 | 子ども/孫 | 24.5 |
8位 | 音楽/楽器 | 21.4 |
9位 | スポーツ | 20.7 |
10位 | パートナー(妻・夫・恋人) | 18.3 |
1位の旅行は、シニアの5割以上が楽しみだと選択しており、他の項目を大きく引き離している。4位以降は、読書、健康、映画、子ども/孫、音楽/楽器、スポーツ、パートナーと続く。
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老後の楽しみにかかる費用
では、旅行やグルメを楽しむには、どれくらいの費用が必要なのだろうか。先の調査によると、1ヵ月の出費の平均額は旅行2万7,000円、グルメ1万2,000円となっている。
年額に換算すると、旅行は32万4,000円(2万7,000円×12ヵ月)、グルメは14万4,000円(1万2,000円×12ヵ月)になる。
ちなみに、回答者の約3割が「過去1年間に孫のために出費した」と回答しており、その平均額は年間12万円となっている。
定年後の収入は、公的年金が中心となる。厚生労働省の「厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、2016年度の年金受給額の月額平均は、老齢基礎年金が5万5,000円、老齢厚生年金が14万8,000円となっている。月々約20万円、年間にすると約240万円。この金額を見ると、老後の楽しみに使う資金は、公的年金とは別に用意しておく必要がありそうだ。
では、どのように老後の資金を準備したらいいだろうか。
老後資金の準備方法
老後資金のおすすめの準備方法を2つご紹介しよう。
・iDeCo(イデコ)
iDeCo(イデコ)は私的年金制度の一つで、個人型確定拠出年金の愛称である。加入者が自分で掛金を拠出して運用方法を選び、掛金と運用益の合計額をもとに、60歳以降に給付を受けることができる制度だ。
iDeCoは、税制メリットが手厚いのが特徴だ。掛金は全額所得控除の対象となり、所得税・住民税の負担が軽減される。受け取り時も、一時金であれば退職所得控除、年金であれば公的年金等控除が適用される。老後資金形成のための制度なので、60歳以上にならないと資産を取り崩すことができない。途中で取り崩して使ってしまうリスクがない点も、老後資金を準備するにはうってつけである。
・つみたてNISA
つみたてNISAは、公募株式投資信託や上場株式投資信託(ETF)を運用すると、年間40万円を限度に最長20年間、運用益が非課税になる制度だ。
特徴は、運用できる対象商品を、金融庁が厳選している点にある。公募株式投資信託と上場株式投資信託(ETF)のうち、手数料が低水準、頻繁に分配金が支払われない、などが選考の基準となっている。長期・積立・分散投資に適しているものだけが選定されているので、商品選びに迷う投資初心者にとっては、利用しやすい制度となっている。
賢い資産運用でゆとりある老後を
老後資金を準備するポイントは、早い時期から始めることだ。早く始めると、毎回の積立額が小さくてもよくなる上、複利効果が大きくなり、運用効率もアップする。
老後を楽しむためにはお金がかかる。自由な老後を過ごすためにも、iDeCo(イデコ)やつみたてNISAなどの制度を利用して早くから備えておきたい。
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