
ここ1、2年、「シェアリングエコノミー」の拡大が顕著となりつつある。シェアリングエコノミーとは、文字通り「エコノミー」を「シェア(共有)」することを基軸とした活動のことだ。具体的には、個人や会社が保有する活用可能な資産などを、マッチングプラットフォームなどを介して、人々がお互いに利用できるようにするというものだ。普段使っていないモノや場所を、シェアリングエコノミーを通して有効活用することによって、経済活動が活性化する動きとして期待されている。
このシェアリングエコノミーを利用して、副業として毎月ある程度の収入を得られるケースも出てきた。本稿ではシェアリングエコノミーと、その活用方法について解説する。
シェアリングエコノミーの動向
もともとシェアリングエコノミーは、日本でも民泊サービスで知られるAirbnbや配車アプリのUberに代表される「シェアリングサービス」の一環として、海外で活用が広がってきた。その流れは、近年日本でも急速に広がりつつある。インターネットの普及とスマートフォンユーザーの増加により、いつでもどこでもサービスを受けられる体制が整ったためであろう。もちろん、インターネット上のサービスを気軽に受け入れる文化が、日本でも根付きつつあることもまた一つの要因であると思われる。
実際、シェアリングエコノミーに関する国内の市場規模は、右肩上がりで推移している。総務省が発表している『情報通信白書(平成29年版)』によると、2015年時点で285億円だったシェアリングエコノミーの市場規模は、2018年には500億円を超え、2020年には600億円にまで拡大するという。
副業に最適なシェアリングエコノミー
注目したいのは、シェアできる「対象」の多さだ。自分が所有しているモノの多くが、シェアリングエコノミーの対象となる可能性があるのだ。例えば、インターネットオークションを利用していらなくなった品物を売買する行為は、シェアリングエコノミーに近い行為と言える。それが、現在ではメルカリなどのフリマアプリの登場によって、より身近になりつつあるのだ。
シェアリングエコノミーの対象となるのは「モノ」だけではない。普段使っていない自家用車や土地(空きスペース)、さらにはお金(クラウドファンディング)、時間、スキルなども対象となっている。
スキルのシェアリングエコノミーというとピンとこないかもしれない。これは、例えばクラウドソーシングサービスを通して、自分のスキルを必要とする人々に利用してもらうということだ。スキルの種類は、プログラミングやデザイン、ライティングなど、その種類は様々だ。その結果、依頼主は企業に依頼をするよりも安価で問題を解決することができるようになっている。スキルを提供する側にとっても、シェアリングエコノミーを利用することで、企業などに所属することなく自分の持つスキルを発揮できるようになる。このように、シェアリングエコノミーは、スキルを持つ個人に活躍の場を広げる役割にもなっている。また、スキルを持つ人にとっては、これまでより気軽に副業ができるようになったのである。
シェアリングエコノミーの種類
あらためて、シェアリングエコノミーの種類について紹介しよう。主に、次のようなものが挙げられる。
モノ
フリマアプリやレンタルサービス、インターネットオークションといった所有しているモノの共有。
空間
ホームシェア、駐車場、会議室といった空き地や空き家、空き部屋、空きスペースなど空間の共有。
スキル
クラウドソーシングサービスなどを通したデザインやプログラミング、軽作業などスキルの共有。
移動
海外などで普及するライドシェアに代表される、自家用車を活用した他人の運送など。
お金
ネットを活用して資金を集めるクラウドファンディングなど。
毎月数万円稼ぐためには?
では、実際に副業としてシェアリングエコノミーを活用するためには、どうすれば良いのだろうか。まずは、自分が提供できるものについて考えてみるといいだろう。自宅の空き部屋やスペース、モノ、車や自転車、スキルなど、シェアできるものはたくさんあるはずだ。主婦や学生など、比較的時間に余裕がある人たちにとっては、「時間」もシェアリングエコノミーの対象になる。それらについて、自分の生活の中でどのように提供できるのかを検討してみてもらいたい。
そのうえで、先行事例もチェックしつつ、実際に取り組んでみることだ。最初のうちはわずかなお金しか得られないかもしれないが、工夫を重ねていくことで、収益は徐々に安定する。とくに毎月数万円レベルの稼ぎを得たいのなら、焦ることなくじっくりと取り組んでいこう。どのシェアであっても、熟練することで収入も高まることを忘れないようにしたい。
新しいシェアリングエコノミーにも注目を
シェアリングエコノミーでは、意外な所有物がシェアの対象となるかもしれない。またその活用方法によって、得られる収益も変わってくるだろう。シェアリングエコノミーを副業として考える際には、まずは同じような内容のサービスを自分で利用してみるのも一手だ。今後さらに進化してゆくシェアリングエコノミーにも注目し、自分の所有物と組み合わせて、新たなビジネスチャンスを開拓してゆきたい。
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