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特集・お知らせ / 小説『お金のいらない国』著者×人気FP対談 年金って必要?老後の不安と向き合うために「お金と幸せの関係」を考える

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小説『お金のいらない国』著者×人気FP対談 年金って必要?老後の不安と向き合うために「お金と幸せの関係」を考える

(写真=確定拠出年金スタートクラブ編集部 左:井戸 美枝さん 右:長島 龍人さん)

生きていくうえで必要不可欠なお金。年金問題を抱える今の日本では、老後の不安も尽きないものです。お金はあればあるだけ欲しいけれど……。でも、「お金って本当に必要なのだろうか」と考えたことはありませんか。

そうした疑問が浮かんだときのヒントになるのが、小説『お金のいらない国』です。小説の中では、すべてのことにお金が掛からない不思議な国にトリップした主人公が、お金とは何か、働くとは何かを見つめ直す物語が描かれています。

今回はこの小説の著者である長島龍人さんと、ファイナンシャルプランナーの井戸美枝さんの対談を実施。お金の存在価値を想像の世界から考えてみることの大切さを説く長島さんと、現実の経済社会からお金を捉えている井戸さん。お二人の話から、これからお金とどう付き合っていけばいいのか、そして本当の幸せとは何なのかを紐解いていきます。

お金がすべてをややこしくしている。だからお金のない世界を描いた

井戸さん:本日は、よろしくお願いいたします。私は、以前から『お金のいらない国』を読ませていただいていました。最初に着想の背景を伺ってみたいです。

長島さん:私は、電通でアートディレクターとして、35年間にわたり広告の企画制作を担当していました。仕事の中で、クライアントへの見積り、協力会社への支払いなど、お金にまつわる業務もあったのですが、それがとても面倒だったんです(苦笑)。ただ、その業務を通して、あるとき「お金というのは人の間を回っているものだ」と考えるようになりました。だから、「お金=交換しないと意味がないもの」なんだ、と。

井戸さん:なるほど。

長島さん:そこから派生して、「お金の交換のやりとりを止めて、そもそもお金というもの自体をなくしてみたらどうなんだろう」と考えるようになりました。皆が仕事さえすればいい世の中って、なかなかいいかもしれないと思ったわけです。

井戸さん:そうだったんですね。

長島さん:ですから、最初のきっかけは単純で、「お金の仕事が面倒だった」「仕事の腹いせに書いた」みたいなものです(笑)。お金が存在しなければ、要求されるものやスケジュールも、きっと今とは全然違うものになるだろうなと。私の仕事も、純粋に「伝えるための広告」に集中できるのではないかと思ったんです。ただ、当初は本にするつもりもなくて、思いついたことを書いただけなんですけどね。

井戸さん:普段の生活で感じられたことを書かれたと聞いて、とても納得しました。というのも、私は『お金のいらない国』を読んでスーパーリアリズムやフォトリアリズムのような、写真と変わらない精密な絵画のような小説を思い浮かべたからです。現実そのものと錯覚するような絵の中に、現実にありえないことを書き込まれてるなと。

長島さん:そうですか。ありがとうございます。

井戸さん:実際にお金のいらない世界があるとしたらどのようなものなのか、リアルを交えながら小説に示されていると感じました。私は、経済を専門にしていることもあってか、リアリストなので発想に限界があるんです。それを分かっているので、なるべく、発想力を補うために本を読んだり絵画を見たりするようにしています。

『お金のいらない世界』は、まさに発想を広げてくれた本で、「こんな世界ありえない」と考えると、それで終わってしまう。では、お金のいらない世界をどう現出させるのかという視点を持って読むと、面白いと思います。

長島さん:シンプルに、ややこしいことは全部ない世界を書きたかったんですよね。ややこしいことはお金に起因していることがほとんどなので、それならなくしてしまえばいいのではと。

井戸さん:経済学の理論からいうと、お金は信用の上に成り立っています。人は紙幣や金属の通貨そのものを信じているのではなく、管理通貨体制を信じているわけです。最近では、暗号やポイントなど物理的に存在しない通貨も誕生していますよね。つまりお金は信用の形を変えたものでしかなく、その信用が担保されているかどうかが重要なわけです。その観点からすると、長島さんは物理的な通貨がない世界で信用をどう築くのかという、最先端の経済を提言されていると感じました。

長島さん:書いたほうは、そこまで考えてなかったですけどね(笑)。突拍子もないこと書いているよな~と。

(写真=左:長島 龍人さん 右:井戸 美枝さん)

井戸さん:そんなことないですよ(笑)。長島さんの小説は、お金の機能の本質を思い出させてくれます。

お金のない世界を想像することで気づけることがある

長島さん:小説では、お金の概念自体がない世界を書いていて、極端に言えば「仕事だけすればいいのでは」という世界を描いています。書いてあることはものすごく単純です。ただ、現在の社会は経済が行き詰まっている中で、この世界を想像できるかということが大事なんじゃないかと思っているんですね。

井戸さん:私も大事だと思います。

長島さん:僕は、実現が最大の目的ではなく、「お金のない世界が本当にあったらどうなるんだろう」と一人ひとりが気づき、想像を膨らませてみてもらいたいんです。その世界に自分がいたと仮定して、ではいまの社会はどうなのか、社会で起きている問題の原因は何かを突き詰めてほしい。そうするとお金に起因していることがほとんどなわけです。

井戸さん:そうすると、この世界を別の角度から見る目を持てますよね。

長島さん:はい。お金のために何かを犠牲にしている、お金のために悪いことが起きていることがこの社会には多い。ですから、まずはお金がない状態を想像してみることで、未来は変わってくると思っています。

井戸さん:気づくことが一番大事なことですね。お金に価値を見出し過ぎている人が多いのかなとも思います。

長島さん:確かに。

井戸さん:結局、根本には需要と供給があって、対価を支払うことでそのバランスが成り立っているわけです。その仕組みにおいて、人が不安に感じるのは、需要があるのに対価を支払えない状態。たとえば、自分の収入が減ったときに、病気や怪我になると困るからお金を貯めるわけです。

長島さん:今の世の中では、すべてのサービスにお金を払う必要がありますからね。

井戸さん:はい。ですから、お金をなくすというのは現実問題として難しいですが、自分が何かを供給することで、お金を払わずに欲しいものが手に入る世界は理想的です。お金に価値を見出しすぎるのではなく、お金に振り回されない感覚を持つためにも、お金のない世界を想像して、「本当にお金が必要なことなのか」を一度立ち止まって考えるといいかもしれません。

長島さん:小説をきっかけに、お金の必要性を考えてもらいたいですね。とはいえ、現実社会を生きていくうえでは、お金がないと不安だと思います。お金をもらえるのであれば、いくらでも欲しいというのが人間ではないでしょうか。ただ、考えてみると、お金というものは自然界にあるものではなく、人間が考え出したものに過ぎません。だから仕組みが不自然なんですよ。

井戸さん:なるほど。

長島さん:お金は劣化しないし、価値が減っていかないからいくらでも貯められる。だから貯めることが目的になってしまい、どれくらい貯めるかの競争になってしまいます。でも、世界を見渡すと、わずか数人の超お金持ちがほとんどのお金を持っていて、あとの何十億人が小銭を奪い合っている状態だと思います。そうすると絶対に貧富の差がついてしまうので、今の仕組みは限界にきていると感じてしまいます。ただ、この仕組みを続ける以上、確かに年金だけでは老後の生活を乗り切れないだろうとは思いますね。

老後のために若いうちに「自分にとって心地良いコミュニティ」を見つける

井戸さん:とはいえ、年金は素晴らしい制度だと、私は思っているんです。国民皆保険ができた当時、日本のGDP(国内総生産)はベトナムくらいで、アメリカの5分の1くらいでした。そのときに、国民全員を保険に入れるという決断をしたのは、皆で助け合って富の移転をしようという意志の現れです。戦後30数年にして、その決断ができたのはすごいこと。ある意味、お金のいらない世界のベースみたいなものだとも言えるでしょう。

長島さん:なるほど。おもしろいですね。

井戸さん:でも、高齢者が増えて働き世代が減るという人口構造の変化によって、仕組みが左右されるという問題はあります。なので、破綻は考えられないけど、実質的な目減りはすると思います。そこで、自分の資産を持っておくとか、長く働ける力を持つとか、自分なりの考えがないといけない。iDeCo(イデコ)やNISA(ニーサ)も手段のひとつで、お金を育てておく必要はあるでしょう。

長島さん:年金だけで足りなければ、お金はなにかしら必要ですよね。でも、1人10億円もいらないんですよ。それ以上持っている人は出して、って僕は思うんですよね(笑)

井戸さん:お金に固執するといいことはないですよね。日本だと地方には物々交換で成り立つコミュニティが存在していますが、東京のような都市で暮らそうと思うと、お金は絶対必要です。どれを選ぶかが大事だと思います。

長島さん:昔は、もっとお金を介さない繋がりがありましたよね。僕は東京生まれですけど、隣近所との付き合い方が今とはまったく違う感じがします。近所の人のことを知っていたし、おかずのおすそ分けとかありましたし、顔もしょっちゅう見ていたし、話もしていたし。今はどんどん疎遠になって、助け合わなくなった気がします。お金じゃないところのつながりが、あまりない世の中なのかもしれないです。

井戸さん:そうですね。だからこそ、若い人はコミュニティや仲間づくりに励んでもらいたいです。お金よりも人という財産のほうが大切ですから。お金がたくさんあっても、老後の孤独は悲しいものですね。自分が心地よさを感じるコミュニティ、暮らし方を現役時代に知っておくことが大事かと思います。

長島さん:今の若い人は、シェアっていう概念を自然に受け入れられていますから、そこはいいことだなと思うんですよね。ひと昔前は、マイホームを持って一人前なんて言われていましたから。そもそも所有って何なんだという話です。お金を使ってモノを所有していると思ってしまうから手放せない。所有しているものを手放すのは難しいかもしれませんが、「自分のモノって何?どういうこと?」って考えるのは大切だと思いますね。

井戸さん:モノを持つと税金がかかってきますからね。たとえば、自動車を所有すると自動車重量税と自動車税が発生しますが、カーシェアだと必要なときだけ使えます。所有するためにお金を稼ぐよりも、仲間をつくって豊かに暮らすことを考えたほうがいいですよ。

長島さん:やはり人間は一人では生きられない。誰とつながって生きているかが重要だと思います。そのつながりはお金では買えないものですから。年を取ってお金を掛けずに時間を有意義に使うには、そのつながりが大事だと思います。老後のつながりが、学校の友だちや会社の同僚くらいしかいなかったら、世界がとても狭くてつまらないですよ。

井戸さん:今は外国の人ともSNSで簡単につながれますから、いい時代ですね。

長島さん:余談ですけど、つながりを持とうと思ったらコミュニケーションが欠かせませんよね。ではどんなコミュニケーションがいいか、それを考えるうえで大事なのは「受け入れる」と「受け止める」の違いを理解すること。これは、僕の小説でも書きましたが、「受け入れる」のは、相手の言っていることを聞いて自分も同じようにしないといけないんだと思うこと。

でも、人間はみんな違うんだから、全部を受け入れられるなんてことはありえないですよね。同意できればそれでもいいですが、違うからと言ってはねつけるのも違う。そこで、「あなたはそうなのね」って「受け止める」ことが大切。コミュニケーションするうえで、違っていいという前提に立つことがポイントかなと思います。

お金の概念をなくしたときに「本当に求めていること」が見えてくる

井戸さん:コミュニケーションを前提とした人との関わりは、絶対に大事だと思います。自分や家族が健康で、笑って暮らせることが幸せの基本形だと思うので、体はもとより心の健康のために、心地良さを感じることは何か探すといいかもしれません。逆に言うと、若いうちはいろいろな場所に足を運んで、自分にとって嫌だなと感じることや、合わないと思う人はどんな人なのかを見極める。それって人それぞれだと思うので、自分にとって安心できる場所を見つけてほしいですね。

長島さん:どんな状況でも、結局は自分が幸せと思うかどうかで、幸せは決まると思います。「お金のいらない国での幸せは何?」と考えると、お金があろうとなかろうと、本当にやりたいことは何なのか、何が大事なのか見えてくるはず。お金のいらない国を想像すると、「自分が本当に求めていること」が分かると思うんです。

井戸さん:そうだと思います。

長島さん:お金の世界に生きているから、お金を持っていたら幸せで、安心なのかもしれません。でも、お金があったからといって友だちがいなかったら寂しい。そうした思考の繰り返しで幸せに近づけるんだと思います。お金がない世界に生きていたとして、誰とつながっていたいか、思い浮かんだ人とつながれれば幸せだと思いますから。

井戸さん:そうですね。ただ、現実にはお金と無縁ではいられませんよね。じゃあどうすればいいかというと、支出の見直しとどうやって稼ぐか、あとは身の丈に合った収支を心掛ける、そして資産を運用すること。今は国がiDeCoやNISAといった税制優遇のある制度を整えていますから、ぜひ上手く使ってもらいたいです。でも、大事なのは、運用を一番にしないことです。それよりも、いつまでも好きなことをして働いていけること、世界に関われる自分でいること、してもらうことばかりではなく自分には何ができるのかを考えることが大切です。

長島さん:ある程度、貯蓄もしておく必要があるでしょうね。「年金で生きられるから若いうちにお金を使ってしまっていい」ということにはならない。お金の社会だから仕方ないですし、「年金だけで生きられないなんて酷い」と文句を言っても仕方ありません。

井戸さん:それは、本当にそうですね。

長島さん:だからこそ、「お金がいらない国に生きていたとして、全部タダだったら何が欲しいの?」と想像してみてほしいんです。世界のすべてがタダで手に入ると考えたら、きっと「そんなにいらないな」と思えるはず。だったら自分が必要なものが十分に満たされてさえいればいい。自分にとって必要なものが分かれば、無駄使いすることもないし、いらないものを買うこともないですからね。

井戸さん:確かに、世の中の全部のモノが欲しいとは思いませんよね。

長島さん:ですよね?でも、お金というものがあるから、それが入ったときに「何買おうかな」って思うわけです。そもそもお金が存在せず、全部タダでいつでもなんでも手に入るとき、全部手にしたいのかというとそうでもない。やみくもに貰ってきても置くところもないし、食べきれないし、そんなにいらないって話になりますよね。誰が何を持っていたってうらやましくなくなる世界ですから、見栄を張る必要もなくなります。

井戸さん:うらやましいと思われたいから、いいねって言われたいからお金を使っている人も少なくなさそうですよね。

長島さん:そうかもしれません。「自分はこれだけしかお金がないから、ここまでしか買えない」と思ってしまうのは、お金が存在しているからで、つまりお金にコントロールされているとも言えます。お金がない社会なら、自分でコントロールするしかないので、何がいるのかを自分で考えるしかないわけです。

井戸さん:長島さんがおっしゃるように、お金がないイメージを一度持つと、自分が本当に欲しかったものが見えてくるかもしれないですね。ちなみに、私がお金の相談を受けるときに、「大きなお金を手にしたら2,3年は動かさないようにしましょう」と言っています。たとえば、退職金のことを考えると、すぐにお金を動かそうとするからマイナスになったり、詐欺にあったりするわけです。なので、しばらく普通預金に入れて寝かせておいて、このお金が何の役に立つのか、なくても平気なのか、時間を掛けて考えてみればいいと思うので。

長島さん:考えてみるというのは、絶対に大事だと思います。僕の小説は突拍子がないことを思いついてかたちにしたようなものですが、言いたいことはものすごくシンプルで、「お金がなかったらどうなるの?あなたはどうするの?」という、ただそれだけなんです。お金のない世界を実現できるかできないかは一旦置いておいて、もしなかったら自分はどんな選択をするのかを考えてほしいですね。想像できない人はそこで止まってしまいますから。

井戸さん:想像して選択するためには、自分の頭で考えなくてはいけないですね。年金がいくら必要とか、メディアで流れてくるニュースを鵜呑みにするのではなく、国の施策を一面的に理解して安易に信じるのでもなく、しっかりと知識を蓄えて判断することが大事だと思います。一回、お金というものをなくして、自分の心で考える。ここに書いてあることが本当は正しいのかどうか、時間はかかるけれど自分の頭で考えないと、自分なりの幸せは手に入らないと思います。

今回、お話を伺ったのは

【長島 龍人(ながしま・りゅうじん)さん】
1958年生まれ。35年間、(株)電通にアートディレクターとして勤務。ほとんどの社会問題の原因であるお金の存在しない世界は可能と考え、2003年、小説『お金のいらない国』(ネットワーク地球村)を出版。以後、寸劇、落語、歌などで講演を続ける。著書は他に、『お金のいらない国2~結婚って?家族って?』『同3~病院の役割は?』『同4~学校は?教育は?』『長島龍人のブラックショートショート』(きれい・ねっと)
【井戸 美枝(いど・みえ)さん】
CFP®、社会保険労務士。講演や執筆、テレビ、ラジオ出演などを通じ、生活に身近な経済問題をはじめ、年金・社会保障問題を専門とする。社会保障審議会企業年金・個人年金部会委員。経済エッセイストとして活動。「難しいことでもわかりやすく」をモットーに数々の雑誌や新聞に連載を持つ。近著に『100歳までお金に苦労しない定年夫婦になる』(集英社)『届け出だけでもらえるお金』(プレジデント社)『iDeCoとつみたてNISAにダブル投資入門』共著(扶桑社)などがある。

長島 龍人さんの著書

『お金のいらない国』 長島 龍人 (著)/ネットワーク地球村(出版) - 2003年刊行

井戸 美枝さんの著書

『届け出だけでもらえるお金』 井戸 美枝(著)/プレジデント社(出版) - 2018年刊行

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執筆: 株式会社ZUU
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