個人型確定拠出年金(iDeCo)に関する情報をお届けするサイトです

メニュー
資産運用・資産形成 / 退職前に知っておきたい、退職金にかかる税金

退職前に知っておきたい、退職金にかかる税金

(写真=Piyaset/Shutterstock.com)

退職金(退職一時金)に関する世間的なイメージとしては、退職時に一括で受け取るというイメージが強い。しかし昨今、退職金を受け取る方法も変わりつつある。たとえば、一時金に代えて年金として受け取ったり、一時金と年金とを組み合わせて受け取ったりするケースもある。

退職金は、老後の備えとなる意味合いが大きいため、その他の所得と比べ控除額が多いが、それでも退職所得控除を差し引いた額には税金がかかってくる。そこで本稿では、退職時にかかる税金のしくみについて解説する。

そもそも自分は退職金が貰えるか、事前に確認をしよう

●規模の小さい企業ほど退職前の確認はしっかりと
退職金制度を実施している会社の割合は、2003年度は86.7%だったのに対して、2013年度は75.5%となっており、導入している企業が年々減っているのが実情だ(厚生労働省「就労条件総合調査」より)。また、同調査によると、退職金制度を導入していない企業の割合は小規模になるほど高くなる。とはいえ、逆に考えると、75%もの企業が何らかの退職金制度を有しているという実態は無視できない。

一方で、退職金制度は企業としては高負担となることも多い。このため、規模の小さい企業になるほど退職時の手続きもおざなりになりやすく、いざ退職を迎えようとした際、手続きに不備があるおそれも否めない。だからこそ、勤務先の退職金制度が適正であるかどうか、事前に確認しておくことは大切だ。

退職金制度が適正に導入されていない企業の場合、たとえば退職金を「退職所得」ではなく賞与扱いで支給していることも考えられる。その場合、賞与は退職金ではないため、退職所得控除を用いることができなくなり、所得税の負担が大きくなってしまう。

●申告書の提出
退職金をもらう際には、「退職所得の受給に関する申告書」と呼ばれる書類を会社に提出する必要がある。会社にこの書類を提出しないと、退職所得控除を受けられるにもかかわらず、一律20%の源泉徴収が行われてしまう。源泉徴収されても確定申告で取り戻すことはできるが、手続き上の手間を考えると、事前に上記の申告書を提出するのが賢明だ。

本来、従業員から書類を受け取った会社は、必要に応じて税務署などに提出するものである。しかし会社側が何らかの理由で書類の提出を拒むおそれがあるならば、万一の事態に備え、書類の控えを事前に取っておくことも不可欠だ。

>> 【無料eBookプレゼント】知っている人だけがトクをする「iDeCo大全」

受け取り方で変わる退職金の税金

上述したように、退職金は必ずしも一括で受け取るものばかりとは限らない。一時金に代わって年金として受け取ったり、一時金と年金とで組み合わせて受け取ったりするものもある。税金から判断した、よりよい退職金の受取方法を以下に解説する。

●退職金を一時金で受け取った場合の税金

一時金で受け取る退職金は退職所得として課税される。課税対象となる退職所得の金額は以下の算式で計算される。
「退職所得の金額=(収入金額-退職所得控除額)×1/2」
この算式中の退職所得控除額は、次のように計算される。 

勤続年数 退職所得控除額
20年以下 40万円×勤続年数(80万円に満たない場合は80万円)
20年超 800万円+70万円×(勤続年数-20年)

※勤続年数の期間には病気などで休業した期間も含まれ、1年未満の端数があるときは1年に切り上げる。

たとえば、「22歳から60歳までの38年勤務し、退職金が3,000万円」である場合、退職所得控除額は800万円+70万円×(38年-20年)=2,060万円、退職所得は(3,000万円-2,060万円)×1/2=470万円となる。退職所得(計算された課税対象になる退職金のこと。例では470万円)に対して所得税、住民税、復興特別所得税が課される。つまり退職金を一時金で受け取る場合、退職所得控除額までの金額に対しては課税されない。

●退職金を年金で受け取った場合の税金

年金で受け取る場合、公的年金等に係る雑所得として課税される。課税対象となる公的年金等に係る雑所得の金額は、下記のように計算される。
「公的年金等に係る雑所得の金額=公的年金等の収入金額の合計額×(a)割合-(b)控除額」  

年金を受け取る人の年齢 公的年金等の収入金額の合計額 (a)割合 (b)控除額
65歳未満 公的年金等の収入金額の合計額が70万円までの場合、所得金額はゼロ
700,001円から1,299,999円まで 100%  700,000円
1,300,000円から4,099,999円まで 75%  375,000円
4,100,000円から7,699,999円まで 85%  785,000円
7,700,000円以上 95%  1,555,000円
65歳以上  公的年金等の収入金額の合計額が120万円までの場合、所得金額はゼロ
1,200,001円から3,299,999円まで 100% 1,200,000円
3,300,000円から4,099,999円まで 75% 375,000円
4,100,000円から7,699,999円まで 85% 785,000円
7,700,000円以上 95% 1,555,000円

上記の表から、65歳未満である場合は年間70万円、65歳以上である場合は年間120万円以内なら税金がかからないことがわかる。ただし、公的年金など他の年金収入がある場合、「公的年金等の収入金額の合計金額」が大きくなることには注意が必要だ。

退職金への税金を軽減するために押さえておきたいポイント

●まずは退職所得控除を活かす
一時金として支給される額が退職所得控除額よりも低ければ、そもそも税金は全くかからない。また、一時金の額が退職所得控除を超える場合であっても、退職所得は超えた額の1/2に対して課税されることから、税負担はかなり軽減される。また、退職所得はその他の所得(給与所得、事業所得、不動産所得、雑所得)などとは合算されず分離課税されるため、総じて税負担が低くなるよう配慮されている。

●他の所得が多い人は、退職金を年金で受け取ると税率が高くなる
年金で受け取る場合、他の公的年金などと同時に受給すると合算して雑所得として計算されるため、課税される雑所得そのものが大きくなる。また、公的年金等に係る雑所得は、給与所得、事業所得、不動産所得、公的年金等以外の雑所得と合算して計算されるため、これらの所得がある場合は、相対的に高い税率が適用される。

以上のことを踏まえ、次のようにすると税金が抑えやすくなる。

●年金が少ない場合
退職所得控除額の超えない範囲は一時金とし、残りを年金として受け取る。

●年金が多い場合
一時金で全額を受け取り、退職所得控除額の超える金額は低い税率を適用させる。

有利な条件で退職金を上手に受け取ろう

退職所得と雑所得のどちらで受け取る方が有利なのかは、それぞれの条件によって変わるので、ぜひ自分の条件に当てはめて計算してみてほしい。会社の制度、他の所得、企業年金、社会保険料等を考慮し、より有利な条件で受け取れるよう工夫していただきたい。

>> 【無料eBookプレゼント】知っている人だけがトクをする「iDeCo大全」

>>iDeCo(イデコ)も受け取り方によって税金が変わる?

【オススメ記事】
夫婦で考える老後の資産形成
つみたてNISAが投資初心者に向いている理由
つみたてNISA、「売り時」はいつ?
知っているようで知らない「名目GDP」と「実質GDP」の違い
最初の一歩をどう踏み出す!? 後悔しない資産運用の始め方

執筆: 株式会社ZUU
資産運用・資産形成 / 退職前に知っておきたい、退職金にかかる税金