
近年は、銀行にお金を預けることによって貯金を管理している人が大半である。特に最近はキャッシュレス決済が普及しているため、銀行口座と連携させて支払いなどに活用している人もいるだろう。一方、銀行に預けている預貯金の“金利”については、あまり知られていないのではないだろうか。
そこで本稿では預貯金の金利、特に「金利の利息」について詳しく見ていこう。金利の利息について知ることで、保有する預貯金についてだけでなく、金融の基本も見えてくるはずだ。
預貯金の金利
ご存じのとおり、銀行などの金融機関に預けているお金には利息が付く。ここであらためて、利息の基本について確認しておこう。
単利と複利とは?
金利には、「単利」と「複利」がある。単利とは、元本に対してのみ利息が付く計算方法だ。たとえば年利10%の単利で100万円を運用すると、1年間で得られる利息は10万円。2年目以降も同様に10万円で、毎年元本に対して年利分の利息が付与されるのが単利の特徴だ。
一方複利とは、運用期間中に付く利息を元本に組み入れて、再投資したとして利息を計算する方法である。たとえば年利10%の複利で100万円を運用すると、1年目は単利と同じで利息は10万円だが、2年目以降は110万円に10%の利息が付くので11万円が付与される。このようにして、「雪だるま式に増えていく」のが複利の強みだ。
金利と利回りの違いとは?
誤解されることの多い、「金利」と「利回り」の違いについても確認しておこう。金利は元本に付与される“利息の割合”であり、利回りは元本(投資金額)に対する“収益の割合”である。利回りは、利子も含めた収益であることに加えて、年単位で計算されることが多いことを覚えておこう。
利息の計算方法!100万円を10年間運用した場合の計算例
次に、利息の計算方法について具体例とともに見ていこう。単利と複利は、運用する期間が長くなればなるほどその差が広がっていく。100万円を年利3%で10年間運用した場合で、違いを比較してみよう。
単利の場合
年利が3%なので、1年間で得られる利息は3万円。単利の場合、利息の額は毎年同じなので、3万円が10年で30万円。つまり、10年後にはトータル130万円の資産が形成されることになる。計算方法はシンプルでわかりやすいが、一定額が増えていくだけなので伸び率は単調である。老後の資産形成について検討するのであれば、単利では心もとないだろう。
複利の場合
複利の場合、1年目の利息は3万円と単利と同じだが、2年目以降に差が出てくる。2年目の利息は103万円の3%なので3万900円、3年目の利息は106万900円の3%なので3万1,827円になる。同様に計算していくと、10年後のトータルは134万3,916円となり、単利と比較して実に4万円以上の差が生じるのだ。このように長い期間貯金する場合は、複利が圧倒的に有利なのだ。
年数 | 単利(円) | 複利(円) | 差(円) |
---|---|---|---|
1 | 1,030,000 | 1,030,000 | 0 |
2 | 1,060,000 | 1,060,900 | 900 |
3 | 1,090,000 | 1,092,727 | 2,727 |
4 | 1,120,000 | 1,125,509 | 5,509 |
5 | 1,150,000 | 1,159,274 | 9,274 |
6 | 1,180,000 | 1,194,052 | 14,052 |
7 | 1,210,000 | 1,229,874 | 19,874 |
8 | 1,240,000 | 1,266,770 | 26,770 |
9 | 1,270,000 | 1,304,773 | 34,773 |
10 | 1,300,000 | 1,343,916 | 43,916 |
知っておくと便利な72の法則とは?
金利についての補足として、知っておくと便利な「72の法則」についても紹介しておこう。ローン計算などにも活用されているこの法則は、瞬時に金利を計算したいときに役立つはずだ。
72の法則で実際に計算してみよう
72の法則とは、元本(借入金)が2倍になる期間を簡単に求められる計算方法である。公式はシンプルで、「72÷金利≒元本(借入金)が2倍になる期間」だ。たとえば、3%の金利(複利)でお金を運用した場合、元本が2倍になる期間は「72÷3=24年」と計算できる。
実際に100万円を3%の金利(複利)で運用すると、23年目が197万3,587万円、24年目が203万2,794万円になるので、ほぼ正しいことがわかる。正確な計算方法ではないが、覚えておくと活用できる。ちなみに金利18%でお金を借りた場合、その借金が2倍になるのは「72÷18=4年」だ。返済を考慮に入れていない数字だが、わずか4年で倍になることを知ると、高金利でお金を借りることの怖さがわかるだろう。
預貯金の金利も把握しておこう
相対性理論で有名なアインシュタインも、「人類最大の発明は複利である」という言葉を残している。それだけ複利というものは、私たちの暮らしに大きなインパクトを与えるものと言える。普段何気なく貯蓄しているお金も、複利効果を活かして運用すれば、より効果的な資産形成につながるだろう。この機会に、複利の力を見直してみてはいかがだろうか。
※当記事は2020年11月現在の税制・関係法令などに基づき記載しております。今後、税務の取扱いなどが変わる場合もございますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。
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