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特集・お知らせ / 【特別対談】井出留美さんと「もったいない」を考える

【特別対談】井出留美さんと「もったいない」を考える

日本独特の表現と言われる「もったいない」。世界から賞賛される精神である一方、私たちの回りにも、まだまだ知らずに「もったいない」ことをしているケースがあるかもしれない。

食品ロスの専門家である株式会社office 3.11代表取締役の井出留美氏。確定拠出年金の専門家であるプルーデント・ジャパン株式会社代表取締役社長の瀧川茂一氏。一見、関連がなさそうな異業種2つにも、「もったいない」をキーワードとする意外な共通点があるようだ。2名の専門家の対談を追う。

(写真=確定拠出年金スタートクラブ)

世界では年間13億トンの食品が廃棄

瀧川氏:今日は『賞味期限のウソ 食品ロスはなぜ生まれるのか』の著者でもある井出留美さんのお話を色々とお伺いしたいと思います。宜しくお願い致します。

井出氏:こちらこそ宜しくお願い致します。

瀧川氏:井出さんと言えば「食品ロス」の分野で、さまざまな活動をされていると思うのですが、具体的にはどのような活動をしているのでしょうか?

井出氏:私は今、「食品ロス問題についての理解を促進し、食品ロスを減らし、食品ロス問題を解決すること」をミッションとして活動しています。主な活動内容は、食品ロス問題に関する監修や執筆、講演などです。事業者にとって食品ロスは廃棄コストであり、経営に直結します。事業者からの講演・研修依頼や、大学の授業を受け持つ機会も多くなっています。

瀧川氏:「食品ロス」という言葉自体を初めて知る読者も多いと思います。どのような意味なのでしょうか。

井出氏:食品ロスとは「食べることができるのに捨てられてしまう食品」を指します。世界では、年間13億トンの食品が、食べることができるにも関わらず廃棄されています。捨てられてしまう理由は様々です。例えば賞味期限が近づいてきたとか、製造の過程で缶詰の缶がへこんだとか、ラベルをちょっと曲がって貼ってしまったとか、ダンボールが破れてしまったとか…。

「もったいない」の典型例ですよね。独立する前は、上記のような食品ロスを預かって、生活に困っている人とか、福祉施設に寄付をする社会福祉活動にも携わっていました。

瀧川氏:独立のきっかけとなったのは、日本人には忘れることができない「3.11」(東日本大震災)だったと伺いました。

井出氏:もともと外資系食品企業で約14年半、広報と栄養関連業務を担当してきました。東日本大震災が起こった際、当時の社長から、食料品を支援物資として、被災地に手配する役割を仰せつかりました。最初のうちは農林水産省と一緒に、どこに送ればいいのかと試行錯誤したあげく、10日後にやっと送ることができたんですね。

でも、その支援活動の過程で、納得できないようなたくさんの無駄を見てきたんです。メーカーが違うからとか、避難所全員分の個数はなく平等ではないから配りませんとか。

例えば、とある避難所に500人いるとします。被災地にトラックで積んできて498個持ってきました。2個足りませんね、平等じゃないから配りませんと。数個足りないくらいだったら、食の細い方は半分にするとか工夫の仕方があるのに。

いろんな理不尽なことを見たという経緯があって、3月と4月は支援活動に熱中していたんですが、5月になってすごく悩むようになりました。被災地に行きたいというような想いが強くなって、長く勤めてきた会社には愛着もあったんですけど、退職して独立しました。

瀧川氏:平等でないから配りません、メーカーが違うので配りません、というのは、言葉で言うと「食品ロス」ひと言かもしれませんけど、理不尽さ、やるせなさを感じますね。

(瀧川氏 写真=確定拠出年金スタートクラブ)

小さな金額に分解して理解を促進する

瀧川氏:知っていることと、実際に行動を起こしてもらうことには、大きな違いがあると思います。私たちも確定拠出年金に関する様々な活動を行っているのですが、方法を知っても実際に行動に移す方ばかりではありません。

特に、2017年から改正されたiDeCo(イデコ・個人型確定拠出年金)は、運用面からも節税面からの非常にメリットが大きい制度なのですが、まだまだ普及が進んでいません。食品ロスも、多くの人が「それは無くしていかないといけないね」と思うはずですが、そこから行動を起こしてもらう工夫は何かありますか?

井出氏:このような社会貢献活動は少なからず寄付によって成り立つ部分があるのですが、やはりアメリカでは非常に盛んです。アメリカ社会では、営利企業とNPOとの地位がほぼイコールなんですよね。大学生の最初の就職先としても人気です。しかし、日本は、そういった活動になかなか寄付をしないのが現状です。神社とか仏閣には寄付する文化があるので、決して寄付文化がないわけではないと思うのですが。

そこで1歩踏み出してもらうために、すごく小さな金額に分解するんですね。コーヒー1杯分とか。あなたの払った100円で赤ちゃん何人分の予防接種ができますとか。踏み出す1歩としては、やっぱり気軽な金額に分解してあげることがポイントだと思います。近年、広がりを見せるクラウドファンディングなんかもそうですよね。

瀧川氏:それはiDeCoの普及にも応用できると感じました。iDeCoは、月5,000円から始めることができます。「老後の資産を自助努力で形成しましょう」というと少し仰々しく感じるかもしれませんが、「月5,000円、つまり一日100円ちょっとの預金から始めることができるオトクな制度です」と言うと、伝わり方が変わってくるかもしれません。

井出氏:食品ロスには興味はないけれども、ダイエットには関心があるという人もいるので、冷蔵庫がパンパンな人は太っている傾向が強いらしいですよ、とか伝えたい内容に、多くの人が興味を持つ分野を掛け合わせるのも良いかもしれません。

その人その人が「コーヒー1杯分」とか「うちの冷蔵庫」とか想起しやすいようにするのがポイントじゃないでしょうか。やっぱり投資や資産運用というのは、自分とかけ離れたこととなりやすい分野だと思うので、身近な何かと組み合わせると、より普及が進むのではないかと思います。

(井出氏 写真=確定拠出年金スタートクラブ)

食品ロスとiDeCoに共通する「もったいない」

瀧川氏:ありきたりな言葉ですが、食品ロスは企業にとっても、消費者にとっても、環境にとっても「もったいない」ことですよね。4人家族の1年間あたりの食品ロスが6万円にもなると聞きました。

井出氏:京都大学と京都市役所がずっと家庭ゴミの調査をしており、6万円という数字はその調査を基にした試算です。さらに言うと、6万円分の食べ物を燃やして処理したりするのに5,000円ほどかかるので、一世帯あたり6万5,000円の食品ロスが発生しているわけです。

それが日本全国で起こっているとすると実に11兆円以上の無駄になる計算です。まだ食べられる食品にかかっているコストです。ただ、ゴミ問題や資源活用って、関心を持つ人が限られるんですよ。別にゴミがいくら出ようが関係ないという人も一部にいるので。だから「自分ゴト」化してもらうことが重要です。

例えば、私は有り難いことに講演や授業をさせて頂く機会が多いのですが、クイズで「いくらくらいだと思いますか。ヒントとしては何万円なんですけど、何万円くらいか頭のなかで思い浮かべてもらえますか」と聞きます。あとは1万円札をぼんと出して「まさかこれをゴミ箱に捨てませんよね?これ6枚分ですよ」と(笑)

瀧川氏:捨てないですよね(笑)

井出氏:日々の生活に落とし込んで思い浮かべてもらう。ひとごと化しているからスルーしちゃうんですよね。いかに自分が、その情報を知らず「もったいない」ことをしてきたか、少しでも私の声が届いていれば幸いです。

瀧川氏:その「もったいない」感覚はiDeCoにも通じると思います。iDeCoは掛金が全額、所得税から控除されます。その分、所得税の負担が減りますし、所得税が減るということは、翌年の住民税の負担も減るということです。

その金額は人によって異なりますが、国が認めている制度ですから全く違法ではありませんし、早く始めた方が、節税という意味では有利であることに間違いありません。食品ロスも同じだと思いますが、これまで「もったいなかった」ことは戻ってきませんけど、未来は変えられるわけですよね。

井出氏:機会損失ということですね。食品ロスに関しても、仮に試算通り、一世帯で年間6万円の無駄が発生しているとしたら、10年で60万円、30年で180万円を無駄にしているわけです。

瀧川氏:厚生年金のみ加入しているサラリーマンは年間最大27万6,000円まで掛金を拠出できるわけですが、年収500万円の人は年間8万2,800円を節税できます。30年だと単純計算で248万4,000円です。気がついた人はこれだけ節税できるけど、気がつかない人は払い続けるわけです。仰る通り、機会損失ですよね。

井出氏:伝わらない時は、クイズにしたり数字で明記したりして、印象に残すようにしています。ちなみに、ハンバーガー1個あたりにどれだけ水を使っていると思いますか?1番3,000リットル、2番300リットル、3番30リットルと選択肢を挙げると、多くの人は30リットルと答えます。しかし、答えは3,000リットルです。

皆さん「えー!」と驚かれるわけですが、ハンバーガー1個だけれども、やっぱり牛肉を作るまでに牛を育てるのに必要な水とか、パンの小麦を育てるのに使う水とか、トマトとかレタス等を足し合わせると、それくらいになるんですね。家庭のお風呂でいうとざっと15杯分くらい。そうすると、急に「もったいない」感が自分ゴトに感じるわけです。

私はiDeCoの専門家ではないですが、そのように「加入していないと自分は年間◯万円損しているんだ」と見える化、自分ゴト化してあげることが重要かなと思います。

瀧川氏:貴重なお話ありがとうございました。

<出演者略歴>

井出留美(いで・るみ)
株式会社office 3.11代表取締役。食品ロス問題専門家。消費生活アドバイザー。博士(栄養学)(女子栄養大学大学院)、修士(農学)(東京大学大学院農学生命科学研究科)。女子栄養大学・石巻専修大学非常勤講師。平成28年度農水省食品ロス削減国民運動展開事業フードバンク推進検討会(沖縄)講師。同年10月『賞味期限のウソ 食品ロスはなぜ生まれるのか』(幻冬舎新書)上梓、11月、本著内容を国際学会Food and Societyで発表。

瀧川茂一(たきがわ・しげかず)
プルーデント・ジャパン株式会社 代表取締役社長。早稲田大学大学院ファイナンス研究科修了(ファイナンス修士(専門職)MBA)。システムエンジニアを経て、自身のライフイベントをきっかけに、確定拠出年金分野での教育専門会社である同社に入社。多くの運営管理機関からのアウトソース業務を請けつつ、事業主から直接「加入者目線の継続教育」の企画を依頼され、年間200件以上の「DC継続教育」プロデュースを手掛ける。

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執筆: 株式会社ZUU
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