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井戸美枝さん短期集中コラム:「定年後40年時代」を安心して迎えるために 【第4回(最終回)】夫婦で考える年金 配偶者が亡くなると?

(写真=/ShutYAKOBCHUK VIACHESLAVterstock.com)

配偶者が亡くなったとき 年金はどうなる?

筆者はファイナンシャルプランナーとしても活動しています。退職後のお金の相談に来られる人から、よくされる質問があります。それは「配偶者が亡くなったら公的年金はどうなるか」です。

結論から申しますと、亡くなった人が受給していた公的年金がゼロになるとは限りません。会社員として働いていた配偶者が亡くなると、残された人に「遺族厚生年金」が上乗せして支給される可能性があります。

ケース① 会社員の場合

具体的にみてみましょう。
まずは「会社員だった夫が亡くなり、専業主婦だった妻が残される」という場合です。平均的には女性の方が長生きしますので、いちばん多いケースですね。

会社員の夫が亡くなると、妻は夫が受け取っていた年金の一部を「遺族厚生年金」として受け取ることができます。遺族厚生年金の額は、夫の老齢厚生年金の額の75%です。つまり、夫の老齢基礎年金は支給されなくなりますが、老齢厚生年金の75%相当額が、妻の年金に上乗せされます。

子どもがいないケースでみてみましょう。たとえば、夫が老齢基礎年金78万/年、老齢厚生年金を115万円/年。妻が、老齢基礎年金78万/年を受け取っていたとします(※1)。夫が亡くなると、夫の老齢基礎年金78万円は支給されなくなり、遺族厚生年金86万2,500円/年(=夫の老齢厚生年金115万円/年×75%)が妻に支給されることになります。世帯全体で考えると、106万7,500円/年のマイナスとなります。

専業主婦の妻が先に亡くなった場合は、夫は自分の年金のみになります。妻は厚生年金に加入しておらず老齢基礎年金のみを受給していた場合、夫には遺族厚生年金は支払われません。この場合、世帯全体では、78万円/年のマイナスとなります。

(※1)夫婦ともに1977年生まれ。夫の厚生年金加入期間は456ヶ月(38年)で、現役時代の平均標準報酬月額が46万円。妻は国民年金に満額加入したケースの概算。

ケース② 会社員(共働き)の場合

次に、夫婦ともに会社員だったケースをみてみましょう。
共働きの世帯が増えており、今後こうした世帯は増えると思われます。

2人とも厚生年金に加入していた場合は、残された人自身の「老齢厚生年金」か、配偶者の「遺族厚生年金」のどちらか多い方を選ぶことになります。亡くなった人の老齢厚生年金の75%が、残された人の老齢厚生年金を上回れば、その差額を遺族厚生年金として受け取れます(※2)。自分の老齢厚生年金の方が多い場合は、遺族厚生年金は支給されません。世帯全体で考えると、亡くなった配偶者のぶん年金が支給されなくなることになります。

(※2)1942年(昭和17年)4月1日以前に生まれた人は、「残された人自身の老齢厚生年金」「遺族厚生年金」「遺族厚生年金の75%+老齢厚生年金50%」の中から、最も多い金額を選択します。

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ケース③ 自営業者の場合

夫婦ともにフリーランスや自営業だった場合(子どもいない)は、2人とも厚生年金に加入していません。よって、どちらが先に亡くなっても、遺族厚生年金は受け取れません。厳しいですね。

夫が先に亡くなると、妻に「死亡一時金(12万円~32万円)」が一度支払われます。また、妻の年齢が60歳から65歳であれば、その間のみ「寡婦年金」が支給されます。寡婦年金の金額は、夫の老齢基礎年金の75%です。

妻が先に亡くなった場合、夫に対して支払われるのは死亡一時金のみです。寡婦年金は夫を亡くした妻が対象であり、妻を亡くした夫には支給されません。

副業や兼業を含めて、自営業・フリーランスとして働く人は1,100万人を超えました。政府は、会社員と比べて不利な点が多いフリーランス保護の議論を始めましたが、法案提出の目標は2021年の予定です。今後、社会保険が何らかの形で整備される可能性はあるものの、まだまだ先のことになりそうです。自営業・フリーランスの人は、個人型確定拠出年金(iDeCo)や国民年金基金などを利用して、自分で用意しておく必要があります。

女性の方が長生き 年金繰り下げるなら妻

このように、配偶者がなくなると、世帯全体で受け取れる年金額は、おおむね5割〜6割程度になります。亡くなった人の生活費は不要になりますが、住居費や光熱費などの固定費は、それ程変わらないケースが多いでしょう。家計はやや苦しくなるかもしれません。

過去のコラムでも述べましたが、男性と比べて、女性の方がはるかに長生きです(男性の平均寿命80.98歳に対して、女性の平均寿命は87.14歳)。同い年の夫婦でも、女性は夫と死別後平均6年間は1人で生計を立てることになります。男性の方が年上であれば、その期間はさらに長くなる可能性があります(再婚などのケースは除きます)。

そこで、退職後に、夫の年金だけで生活ができそうであれば、妻の年金受給開始を遅らせるという手があります。以前お話しした「繰り下げ受給」ですね。最大70歳まで繰り下げることができ、その場合、年金受給額は42%増えます。増額された年金額は、一生涯続きます。
また、繰り下げ受給は、「老齢基礎年金(国民年金)だけ」「老齢厚生年金だけ」と分けて行うことができます。夫婦の年金受給開始の時期を工夫すれば、世帯全体で受け取る年金の総額は、増える可能性が高くなるでしょう。

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執筆: 株式会社ZUU
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